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スポーツで「脂肪燃焼」をさせるためにも糖質が重要
体脂肪を消費する最も重要な器官は筋肉であり、運動により骨格筋を維持し、なおかつ筋肉の脂肪燃焼能を高めることで、効果的な体脂肪の減少が期待できます。運動をすると、肝臓と筋肉のグリコーゲンが減少しますが、運動中に糖質を補給すると、その減少が抑制でき、持久力を長く維持できます。脂肪酸はグルコーゲン同様に持久運動中の重要なエネルギー源ですので、運動中に脂肪酸を有効に利用できれば、グリコーゲンの節約にもなるし(運動も持久可能)、脂肪燃焼効果も期待できます。
運動中に摂取したブドウ糖(グルコース)と果糖(フラクトース)では、ブドウ糖(グルコース)は脂肪分解を低下させて血中遊離脂肪酸濃度を低下させるのに対し、果糖(フラクトース)には脂肪代謝に対して抑制する作用がないことが分かっています。
このことから運動中に摂取する糖質には、脂肪燃焼も考えると、果糖(フラクトース)が望ましいといえます。
アミノ酸やクエン酸を効果的に利用するのも一案。そこでも糖質が重要
体アミノ酸飲料やクエン酸飲料は今巷ではホットなスポーツドリンクです。
目的や運動内容に合わせて、疲労回復や筋肉痛の軽減のためにも上手く利用してみてはどうでしょう。この中に使用されている糖分も、実は重要な役割を果たしています。
<クエン酸>
クエン酸は血中乳酸消去を促進する作用があるため、疲労からの回復を促進します。
運動によって肝臓とグリコーゲンが減少したラットに、ブドウ糖(グルコース)だけを投与した場合と、ブドウ糖(グルコース)+クエン酸を投与した場合のグリコーゲン回復率を比較したところ、ブドウ糖(グルコース)+クエン酸を同時投与した方がグリコーゲン(エネルギー源)の回復がかなり早いことが明らかになりました。運動後に早期に疲労回復するためには、クエン酸+糖質で摂取するのが、より効果的です。
果糖(フラクトース)は、素材の味を引き立てるすっきりした甘さが特徴で、果物の酸味を生かすジャムや梅酒・ジュースとも相性がよく使われています。この特徴から酸味の強いクエン酸飲料を、すっきりした味わいを提供するため果糖(フラクトース)を使用しているメーカーもあります。


<アミノ酸>
近年、引き続きアミノ酸ブームではありますが、まだまだ解明されていない点も多いのがアミノ酸の効果です。
筋肉では、アミノ酸はタンパク質の合成に利用される(筋肉合成)ばかりではなく、一部のアミノ酸(ロイシン・イソロイシン・バリン・アスパラギン酸・アラニン)は筋肉の中で分解されます。
この中で重要なのが分岐鎖アミノ酸(BCAA)といわれるロイシン・イソロイシン・バリンの3種類。運動によって筋タンパク質は分解され、筋細胞が損傷してしまいます。いわゆる「筋肉痛」を起こします。これは、ウエイトトレー二ングのような強度の高い運動で引き起こされますが、普段運動を行っていない人に著しく起きる現象です。
分岐鎖アミノ酸(BCAA)を摂ることで、筋タンパク質の分解が抑制され、合成を促進するため、運動中・後の疲労感や筋肉痛を軽減することが分かっています。更に、BCAAにはグリコーゲンの節約、暑熱環境での運動持久能を高めることも分かっています。ただし、注意点として効果を期待するためには、BCAAの摂取は運動前〜直後のタイミングで、BCAA 4000mg以上は摂ることが必要なようです。
また、あまり「味」に関して知られていないアミノ酸ですが、スポーツ飲料に使用されることの多い一部のアミノ酸(BCAA等)は、飲用するにはとても苦いため、通常のドリンクでは糖分で味を調整しております。そのため、かなりの分量で糖分が含まれているものもあります。
これは、逆に糖分による血糖値の上昇やカロリーが問題になります。ブドウ糖(グルコース)比べ同じ甘さでカロリーが軽減でき、血糖値の上昇を抑えられる果糖(フラクトース)はアミノ酸飲料に適した糖質といえるでしょう。


著者紹介下村吉治教授 下村吉治教授

【プロフィール】
1976年 東京教育大学体育学部健康教育学科卒業
1978年 筑波大学大学院体育研究科修士課程修了
その後、名古屋大学大学院医学研究科博士課程修了、名古屋大学医学部助手、米国インディアナ大学医学部生化学講座留学、筑波大学体育科学系講師、名古屋工業大学工学部助教授を経て、1997年より名古屋工業大学工学部教授。
専門は分岐鎖アミノ酸代謝の調節機構:糖、脂質、アミノ酸代謝に及ぼす栄養と運動の影響
主な著書に「スポーツと健康の栄養学」(ナップ)、「身体運動・栄養・健康の生命科学Q&A運動と栄養」(杏林書院)、「運動分子生物学」(ナップ)、「食事と運動」(学会センター関西)などがある。受 賞/筑波大学河本体育科学研究奨励賞(1989)、Ajinomoto Award BCAA基礎研究賞(2001)
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